望月会計事務所

事務所ニュース

News 2001.5月号

望月会計事務所
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 昨年よりさらに早く横浜ベイスターズの今シーズンは終了してしまいましたが、今年はイチローがいます。野茂がいます。新庄も今のところいます。そして、ワールドカップの開催を来年に控えたサッカー日本代表にも注目しなければなりません。ベイスターズなんか気にかけている暇はないのです…ないのです…ないのです…(涙)

 この時期、横浜スタジアムがある横浜公園の木々の緑の鮮やかさは、誠に見事です。普段、コンピュータに向かい合っている時間が多い分、初夏の日に照らされて輝く新緑が余計目に染みるのでしょうか。木や山や川や海や、そんな自然が恋しくなる今日この頃です。

1. 平成13年度税制改正について

 平成13年度税制改正の法案が、国会にて可決成立し公布されました。内容の概要については、前号(2001年1月号別紙)でひと通りご紹介致しましたが、今回はその中から特に注意すべき点を確認したいと思います。

 なお、内容の詳細については、前号でもご報告したとおり、6月初旬頃に冊子としてお渡しする予定です。

●新住宅ローン減税制度

 今年の7月1日以降入居分より、新住宅ローン減税制度が適用されます。控除期間は10年に短縮されますが、7年目から10年目の控除率は、前制度より高い率となっているため、借入金の返済期間、返済予定によっては、前制度より減税額が多くなることもあり得ます。6月末頃入居予定の方は、どちらの制度が有利か、再度ご検討されてはいかがでしょうか。

● 贈与税の基礎控除額の引き上げ

 基礎控除額が、60万円から110万円に引き上げられました。本年1月1日以降に行われる贈与から適用となります。

● 住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算特例

 贈与税の基礎控除額の引き上げに伴い、親などから住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税限度額が、300万円(60万円×5年)から550万円(110万円×5年)に引き上げられました。

 また、前年以前4年以内に本制度の適用を受けられている場合には、本年以降、適用初年度から5年経過する年までの間、110万円と60万円の差額である50万円の基礎控除枠を取ることができます。

● 株式譲渡益課税

 申告分離課税への1本化は、平成15年4月まで延期されました。

● 企業組織再編成税制

 合併、分割等の企業組織再編成を促進するために、それらを行う会社及び株主に対する課税上の扱いが整備されました。

● パソコン減税の適用期限の終了

 100万円以下のパソコン等に対するの即時償却制度は、本年3月末をもって終了となりました。なお今後、資産計上されるパソコンについては、従来6年だった耐用年数が4年に短縮されます。

● 連結納税制度

 連結納税制度は、来年度税制改正により導入が予定されています。具体的内容は今のところ未定ですが、複数の会社を運営されている場合には、今後本制度の利用による節税策等を検討する余地が出てくるでしょう。

2. 会計制度の変革について

 数年前より始まった会計ビッグバンと呼ばれる会計制度の大変革が、現在進行形で行われています。個別決算から連結決算へ、取得原価主義から時価主義へ、キャッシュフロー計算書の作成など、その内容は多岐に渡ります。

(会計ビッグバンの直接の対象は公開会社(上場会社や店頭公開会社)ですが、これに連動した税制改正や商法会計の改正、あるいは金融機関の融資審査資料の改定などにより、非公開会社への間接的な形での影響も少なからず出てくることになるでしょう。)

 経済的「実態」をあるがままに数値化して記録し「表示」させることが会計の役割だとすれば、従来の日本のそれは確かに時代遅れのものになっていました。デリバティブを始めとする新しい金融経済商品の出現、経営組織形態の変化、さらに高成長から低成長への経済環境の変化などに対応しきれなくなってしまったのです。

 ある日突然、総理大臣も知らないところから、日本経済全体に影響を及ぼすほどの多額の不良資産、不良債権が発生したカラクリにも、この古びた会計基準の存在が一役買っていたといっても間違いではありません。

 かつて、日本企業の経営スタイルは「含み益経営」といわれていました。決算書に「表示」された数値以上のものが含み益として「実在」したため、ある問題が発生したとしても、その隠された利益で相殺することにより、つじつまを合わせることができました。これは、経営者にとっても、投資家にとっても好都合なことでした。経営者としての経営責任や投資家としての投資リスクというものが相当程度回避できたからです。

 しかし、「含み益」の時代から「含み損」の時代に移行すると、事態は一転します。あったはずの利益がなくなり、なかったはずの損失がいつのまにか発生し、その金額もよくわからず、誰の責任かもあいまいになり、そして、それに対処する方策もろくに考えられぬまま、茫然自失のうちに20世紀最後の10年間が過ぎてしまったのです。「実態」を適格に把握していなかったつけが、この「失われた10年」の間に露わとなったとも言えましょう。

 今回の会計制度の変革は、単純に言ってしまえば、企業の経済的「実態」をよりありのまま把握して「表示」するための改革です。親会社で被った損失を子会社に回すことも、デリバティブ取引で生じた損失を先延ばしすることも、無意味となります。隠された資産や隠された損失を原則として認めず、あるものはあるものとしてディスクローズさせ、よって「実態」を決算書利用者に直視させるものなのです。

 一方、これは企業にディスクローズする責任を求めると同時に、それをもとに投資や融資を行う投資家や融資機関に、その結果についての自己責任をより強く求めることにもなるでしょう。「実態」を把握した上で自らの自由意志で行ったことに対しては自分で責任を取る、というあたりまえの事がさらに徹底されるようになると考えます。

 つまり、今回の会計制度の変革は、経済取引における自己責任の原則を徹底化するための環境整備のひとつと捉えることもできるのだと思います。

Cf1. 経済だけでなく、日本の政界にもどうやらビッグバンが訪れそうな気配があります。各地の知事選で勝利した無党派知事らの共通のスローガンのひとつが情報公開であり、また、新首相の唱える首相公選制は、永田町界隈のディスクローズと有権者の自己責任を伴う制度でもありましょう。各分野のビッグバンは、それぞれ別の分野の事柄であっても実はその根底で通じ合っているものなのかも知れません。

Cf2. 一般的に今回の会計制度の改革は、会計基準のグローバルスタンダードの導入が目的であると言われています。が、国際会計基準より優れた会計基準であったならば、なにもそれに合わせる必要はなかったでしょう。改革が必要であった本質的な理由は、あくまでも日本の会計基準に不備が多かったということだと私は理解しています。

3. インターネットの利用について

 ITバブルがはじけたと言われ、一時に比べインターネットへの注目・期待がしぼんでしまったような空気があります。確かにIT関連企業の「株式」に対する過剰なまでの投資熱はここにきて一気に冷めました。しかし、インターネットという技術の有用性や、インターネットが生み出したユーザー志向のビジネスモデルがなくなることは、まずあり得ません。逆に、その重要性は今後ますます高まっていくと考えます。

 その昔、コンピュータは一部の専門家のみが利用するものでした。それが今や子供から年配者まで誰もが利用できるものになりました。それだけ操作が簡単になり、安価なものになったからです。が、やはりコンピュータに対する昔のイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。実際、当所でパソコンやインターネットを導入する時もそれなりの抵抗が所内からありました。しかし、今では全員がそれなりに有効に(?)利用しています。

 では、具体的に何ができるのか。ひとつの例として導入後1年弱の当所におけるインターネットの利用状況をご紹介したいと思います。

● 各サイトからの情報収集

  • 新聞社ほか各メディアサイトから最新ニュースの入手
  • 税務訴訟における裁決・判例の入手
  • 法人、不動産の登記情報の入手
  • 官庁等の各種調査統計情報等の入手 (→別紙「経済統計指標」参照)
  • 他の会計事務所(同業他社)の情報の入手
    etc.
    (これらの中には通信料以外の利用料金が課されるものがあります。)

● 自社ホームページによる情報発信

  • 全世界に向けて(!)ほとんどなんの制約もなく自分の思ったことを好きなように情報発信することができる。
  • ネットユーザーに対する広告となる。
    (実際に当所のサイトをご覧頂いたのが縁で顧問契約にまで至ったケースが何件かあります。)
    etc.

● メールによるメッセージの伝達

  • 関与先との事務連絡(日程確認など)
  • 関与先とのデータの送受信(経理資料その他)
  • 所内での文書の回覧、データ送受信等
  • 書籍