望月会計事務所

事務所ニュース

News 2000.7月号

望月会計事務所
tel;045−621−5301

暑中お見舞い申し上げます。

 横浜ベイスターズの今シーズンは早くも終わってしまった感がありますが(悲)、夏はこれからが本番です。予報によれば、今年の夏は例年以上の暑さとのこと。地球温暖化現象が少々気になるところではありますが、とりあえず、暑い夏は景気にとっては良いことでしょう。

 後述の推薦図書でも紹介しておりますが、今「複雑系」という言葉が一つのキーワードとして、各方面で注目されています。

 いささか乱暴に簡略化して述べると、複雑化した世界(例えば、宇宙、人間、社会、企業など)は、その各細部は単純で分析可能でも、それらが関係性を持ち複雑化すると、新しい性質を獲得し(創発)、自然に秩序や構造を形成し(自己組織化)、突如全く性質の異なった存在に不連続に変化する(進化)、という3つの性質を持つという認識から始まる考え方で、「機械論的」思考法に対して、「生命論的」思考法と呼ばれるものです。

 「分析」とその「総合」という近代的な手法(それはそれで十分機能した手法でありますが)では解決できない問題への取組み方として、全体をありのままに観察しその本質を「直感」や「洞察」を用いて直接的に把握する、という古典的な方法の復権を主張する「複雑系」は、刺激的でかつ新鮮な説得力を持っています。例えば、カエルの解剖実験によって、内臓や骨を「分析」し、その後縫いあわせてもとの姿に戻してみても、生きたカエルに戻すことはできません。死んだカエルをいくら研究したところで、複雑な生物としてのカエルを理解したことにはならない。解剖することによって失われてしまう「決定的ななにか」に生物としてのカエルの本質がある。その本質に迫るには、カエル全体を総体として捉え直さなければならない、という立場を取るのです。

 これは、「宇宙」「人間」「社会」、そして「企業」にも当てはめることができます。人間の集団である「企業」の経営に関し、経営分析では捉え切れない問題(決定的ななにか)があることを自覚し、「感性」をフル活用してその存在を「洞察」すること、個別問題に対する対症療法だけでなく、組織の「基本プロセス」自体の変化を促すことによって根本的問題の克服を図って行くこと、を「複雑系」は訴えます。 「頭で考える」だけでなく「体で感じる」ことの大切さや、組織を機械として捉えるのではなく生命をもったものとして捉えることの重要性を「複雑系」は理論的に説いてます。

 様々に入り組んだ諸問題に対し、それらを包括的に捉え、組織全体のバランスを保ちながら経営を実行されている経営者、すなわち“企業は生き物”ということを実感されている経営者の方にとって、こういった感覚は、実は非常に馴染みやすいものではないでしょうか。

 後述の参考書籍「複雑系の知」において書かれている印象的なフレーズをいくつか記して、浅学な自己流による解説はこれくらいにとどめますが、ご興味のある方は本書他関連書籍をご覧いただければ、「複雑系」に関するさらに深い理解が得られると思います。

「複雑なものにはこころが宿る」
「世界の本質は関係性にある」
「感じる力を磨け」
「“変える・起こす”のではなく“変わる・起きる”ことを促進すること」
「セラピストの知〜問題群の生態系の全体を見つめる思考スタイル」
「病は福音なり〜問題とは生命体が進化を遂げようとする現象」
「犯人探しの過ち〜様々な問題が相互に関係し合っている」
「絶対不変の法則は存在しない〜法則そのものも変化する」
「複雑系としての世界では、未来は予測できない」
「未来を予測するな、創造せよ」
「過去はなく、未来もない。あるのは永遠に続くいまだけだ」
「知行合一、自他合一」

追記
 上記「犯人探しの過ち〜」に関連した話を1つ。ご存知のように、そごう倒産による新たな国民負担等が問題となっていますが、マスコミの論調では、国と新生銀行との譲渡契約における瑕疵担保条項がそもそもの原因である、との見方が主流となっています。そしてその条項の取消しを新生銀行に今頃要求するといった動きも、マスコミにおいてあたかも当然という風に受け止められているようにも思います。

 が、あの時の長銀の状態で他にどんな契約があったのか、あるいは、買い手がみつからずに、長銀を倒産させた方がよかったのか、といった視点がこういった論調からはあまり感じられません。今回の国民負担等の発生原因が、国が勝手に行ったかつてのある契約のある条項のみにあるというようないささかヒステリックな論調には疑問を感じざるを得ません。

 譲渡契約時にその契約内容を、積極的に国民に対し情報公開しなかったとすれば、それは国の致命的ミスであったと思いますが、それは同時にその情報を入手・公表し得なかったマスコミの重大な職務怠慢でもあり、その内容に十分な感心を持たなかった私を含む国民の国政への無関心さの表われとも言えるのではないでしょうか。

 なにかの問題が顕在化した時、その原因をある特定の事象のみに集約し(犯人探し)、問題が解決したと安心するという態度は、決して問題の本質的解決にはならないし、そこからは将来に向けての教訓を得ることもできないような気がします。

1. 個人の株式譲渡益課税の申告分離への一本化について

平成11年度の税制改正により、平成13年4月から、公開(上場、店頭公開)株式に係る譲渡所得に関し、「源泉分離課税」が廃止され、「申告分離課税」に一本化されることが決定されました。(ここにきて、証券会社や自民党などから株価に悪影響を与えるとの理由から、一本化見直し論が浮上し、現在のところ、施行に関する最終結論は今年暮れの税制改正論議まで先送りされる見通しです。)

 「申告分離課税」とは、実際に出た利益に対し26%が課税され、自ら確定申告をして納税するもので、譲渡価額の1.05%が自動的に源泉徴収される「源泉分離課税」とは、“税額”も“申告”も“納付方法”も異なるシステムです。

 “税額”については、相続での引継ぎや、かなり以前から保有する公開株式を譲渡して大きな利益が出る場合には、「源泉分離課税」に比べ、相当多額の税額となることが予想されます。逆に、損失がでるような場合には「申告分離課税」の方が有利になります。

 “申告”は、「源泉分離課税」では必要ありませんでしたが、「申告分離課税」ですと、当然必要になり、取引日や取得価額、譲渡価額などを納税者自らが把握し、申告しなければなりません。

 “納付方法”も、譲渡の都度、証券会社で源泉徴収により自動的に納付が完了していた「源泉分離課税」とは違い、3月の確定申告に基づき、1年分をまとめて納付することになります。

 このため、個人で公開株式を保有している場合には、平成13年3月末までに、「申告分離課税」に備えた対策(クロス取引や取得価額の把握など)を講ずる必要があるでしょう。

 既に証券会社などから、本件に関する何らかの説明があったかとは思いますが、ご相談、ご質問等あれば、当所へもお気軽にご連絡下さい。

2.所長宛メールアドレスの開設について

 所長宛メールドレスを開設しました。当所に対するご意見、ご要望、ご批判等を直接かつ早期に把握し、関与先の皆様のニーズを感知して、事務所としてのサービスの質的向上を図ることを第一の目的としています。どのような内容でも構いません。どしどし、メールしてください。

メールアドレスは、以下の通りです。
mochizuki@mochizuki-kaikei.com

 メールをされていない方は、お電話、お手紙等でも、もちろん結構です。また、私と同じくメールを始めたばかりの方は、メールの練習台としての利用でも、当面のところ構いません。

 忌憚のないご意見等を伺れば嬉しく思います。

 尚、各担当者ごとのメールアドレスも近々開設を予定しています。

 今まで、FAX等でやりとりしていた資料等を、今後は(安全対策を講じた上で)メールでもできるようになれば、貴社の事務手続の一層の効率化を図れるのでは、と考えています。また、当所の担当者本人を前にしては言いにくい事でも、メールでは意外と率直に書けたりするものです(恐〜)。

 物は使い様、メールの有効活用をお互いに図っていければと考えています。

3.「税理士からみた経済実態診断」

 日本税理士会が、経営者の景気実感を税理士の目を通して総合的に浮き彫りすることを目的に、税理士1,000人を対象に実施している半年後とのアンケート調査で、公的機関や金融機関による景気動向調査に比べ、中小企業に目配りした“街角の景気診断”という特色を持つ「税理士からみた経済実態診断」。ここ数年の推移をグラフにしてみました。

別紙参照

推薦図書)

「経済のニュースが面白いほどわかる本」
細野真宏著 中経出版

 経済本としては異例な大ベストセラー本。著者は予備校の数学講師。経済の素人の立場から、素朴な疑問点をピックアップし、わかりやすく解説していきます。内容は、為替、金利、物価、賃金の関連やバブルの原因など。

「複雑系の知」
田坂広志著 講談社

 「複雑系」という言葉をどこかで耳にした方もいらっしゃると思いますが、本書はそのエキスをまとめたような非常に簡潔で専門家でなくともわかりやすく書かれています。この他に「複雑系の経営」「イントラネット経営」(著者同)などの関連書籍が出版されています。