ねじれ国会下の税制改正

2013/01/23 水曜日

●税制改正大綱の公表

平成25年度の税制改正大綱がどうやら明日公表されるらしい。

例年であれば12月の中旬に公表される大綱であるが、今回は昨年12月に行われた衆議院選挙の影響で1月にずれ込むことになった。このあと改正法案が国会に提出され、衆参両院での審議、可決(成立)を経て、公布、施行という流れになる。

通常は、3月末成立4月1日施行という日程だが、果たして今年はそれに間に合うのかどうか?

 

●ねじれ国会の影響

税制改正のスケジュールは選挙だけに影響を受けるわけではない。一昨年の平成23年度の税制改正は、ねじれ国会と震災の影響で年度内に成立させることができなかった。

今も依然としてねじれ国会の状況にあると言われているが、今回の税制改正でもその成立過程で一波乱あるのだろうか。

また、先の民主党政権時がねじれた状態だったのだとすれば、今回の政権交代によって、そのねじれは解消したはずではないのか?という素朴(?)な疑問も浮かぶ。

大綱の公表前にこの辺りを確認しておきたい。

 

●ねじれ国会の意味

ということで、僕らのWikipediaをひも解いてみると、

ねじれ国会(ねじれこっかい)は、日本国憲法下の日本の国会において、衆議院で与党が過半数の議席を持つ一方で、参議院では野党が過半数の議席を維持している状態のこと。

とある。また、はてな氏によれば、

おもに日本国の国会について、衆議院の多数派(=政権与党)が参議院で少数派になり、野党が多数派を占めること。

とのことである。もともとはマスコミの造語で厳密な定義はないのかも知れないが、政権与党が参議院で主導権を持っていない状態と言っていいだろう。

現在、参議院では自民党会派も民主党会派も議席は過半数に届いていない。

(Wikepediaより)

すなわち、自民党も民主党も参議院では確実な主導権を有してはおらず、したがってどちらが政権与党であっても「ねじれ国会」の状況ということになるらしい。

 

●法律案の議決

国会の権限には、税制改正法案などの法律案の議決のほかに、予算の議決、条約の議決、内閣総理大臣の指名などがある。これらは衆参両院において議決が必要とされるが、衆参で議決が異なる場合には衆議院の議決が優先される。(衆議院の優越

しかし、法律案の議決だけは、衆議院において3分の2以上の多数での再可決が必要とされる。(別に、両院協議会を活用するという方法も認められている)

先の選挙で自民党は公明党と合わせて計325の議席を獲得した。これは衆議院の議席の3分の2である320を上回る。

(Wikepediaより)

つまり、現在の自民党と公明党の連立政権は、参議院で否決されたとしても衆議院での再可決によっていかなる法律案でも通すことができる状態にあるということになる。(とはいえ、参議院でも他党の協力を得たいとの考えではあるようだ→朝日デジタル

 

●ねじれの度合い

上記のように、ねじれ国会であっても与党主導で法律案を通すことができるケースもある。

一方、参議院において野党側が過半数を持つようなケースでは、与党が衆議院で圧倒的多数を持たない限り、野党に法律案の拒否権を握られていると言っていい。

すなわち、ねじれ国会といっても「ねじれ具合」は一様ではないということだ。

Wikepediaでは過去のねじれ国会の実例として、「1989年参院選後」「1998年参院選後」「2007年参院選後」「2010年参院選後」「2012年衆院選後」を挙げている。

衆議院で圧倒的多数を握り、さらに参議院でどの野党会派にも過半数を持たれていないという現在の状況は、過去の「ねじれ具合」と比較すれば「浅いねじれ」と言えるのかも知れない。

だとすれば、今回の税制改正はねじれ国会下にありながらも意外とすんなりと成立する可能性も低くはないのではないだろうか。(つまり、法案成立前に大綱を熟読してもムダではないということか…^^;)

 

ねじれは悪か

今、「ねじれ国会」という言葉は批判的な文脈で用いられることがほとんどである。

ex.) NAVERまとめ「ニュースでよく聞く「ねじれ国会」の問題」

が、Wikipediaによると、その利点として、

終戦直後の日本国憲法制定での両院制選択の経緯を見ると、アメリカから渡された憲法草案が 一院制であったのに対し、日本側はわざわざ両院制に変更している。その理由は、一院制の場合、総選挙の結果で国家の方針がいきなり変わってしまうことになり、政情が安定しなくなるためであり、両院制として、片方の院の選挙で多数党が変わったとしても、ねじれの状況になるだけで、ねじれの間は法律は変えられない、すなわち政情が安定するというものであった。

とある。この変化の激しい時代に適合するものかどうかはともかく、当時、我が国が両院制をあえて選択した理由というのも当然のことながら存在するわけである。

世の中の空気や一時の感情に惑わされず、そのマイナス面だけではなくプラス面をも冷静に見つめ評価することが今あらゆる問題で大事なような気がする。(ん、何の話だ?)

 

(望月)